◆カラフルな傘忘れようとしていた

雑草の生い茂る、殆ど人の立ち入らない様な場所。
心持ち傾いている西洋館の入り口の前に、
ぼうっと突っ立っている、土方の寂寥感、世の中の企て。

人は本当の事を言われるのを嫌がる。快を求め不快を避ける。
本当の事を言ってくれる友が好きだな。
本当の事を言ってくれる事が慰めになるから。
世の中に溢れている安っぽい慰めはいらない、と言って自分を慰めてみる事。
『俺にとって仕事は考える事を紛らす事』
『パチンコもそうだ。考える事を紛らす事』
『昔は、気の合う奴等とバンド活動もしていた』
『それもそうだったのかもしれない。上辺だけの、見せかけの、楽しい音。』


腹の中に。
カラフルな傘忘れた。
傘忘れようとしていた。


弱虫な蛆虫は、群れ集まる蛆虫の中で自分だけは特別だと思いたがる、
他の蛆虫を、踏み付けて、押し付けて、して、自分自身を知ろうとする。
何をうじゃうじゃ言ってやがるんだ、とかなんとか言って、
深く考えもせずに、腐った根性で、それに凭れ掛かっている事も知らずに、
自分の思い通りになったと満足している。弱さからくる、思いあがり。
だが、遠からず失意はやってくる。
自らを自らの手で沈めてしまった事に、その時になってやっと気付く悲しき漁船の絶望。

昭和二十年。八の月、純一郎―没す


※繰り返し


土方は平衡を失いそうだ。毎晩大酒を食らい、道端に倒れては起き上がり倒れては起き上がった。
ある晩、大蛇が現れた。
『余の腹の中は心地良いぞ』
土方は大蛇に飲み込まれた。
塵埃から逃れて、大蛇の腹の中へ。

大蛇の腹の中は、懐中電灯が必要だった。
大蛇の腹の中は、死を待つ人でいっぱいだった。
大蛇の腹の中は、無邪気な人でいっぱいだった。
大蛇の腹の中は、、あの純粋でわくわくする様な、で溢れていた。


※繰り返し


大蛇の腹の中で、凱歌をあげる。
大蛇の腹の破れ目から、一筋の光が差す。
若く美しい神の瞳。美しい笛の調べ。

そしてまた、繰り返すだろう。
大蛇の腹の破れ目を、縫合しようとする欲求が生まれるだろう。


収録曲目
1.横恋慕 2.CDの作り方 3.俺は言いましたか 4.HトIJKLMN 5.肉体労働者とその夫タキラス 6.忘れた傘
            7.煤木さんは隠す 8.オルケストラル. 9.浦安 10.署名者のレース 11.カザリケ 12.御伽三丁目 13.コンマ以下の表象


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