説明
Lyrics
1.リュロロスト土管踏み
【1曲目・リュロロスト土管踏み】
リリック無しのインスト楽曲
2.ボート漕ぎの老人と王子
【2.ボート漕ぎの老人と王子】
レリラ中央病院。5階講義室から、聖歌隊の歌声が漏れてくる。
病室の出窓に置かれてあるポインセチアに水を遣る。12月24日。聖夜。空一面に星が見える星夜。
講義室へおにぎりが運ばれていった。善人か悪人かそのどちらか一方ではない。
彼は病院にいる病人だ。ドアのすぐ外に、白人の女。詰め寄せる客人が、彼に決断を催促する。ワクチンが必要だ。
味方か敵か、姿を消したいきもの。駅前。駅舎から出てくる母を見つけて駆け寄る娘。咳が止まらない母。
娘の蹴り上げたネジが壁画を少しだけ削った。
■ボート漕ぎの老人と王子x3
板チョコ分け合ってらあ
碇を下ろした船。桟橋を見つめる母の目には涙も無いし、手にはみんみん蝉が握られていた。
瓦礫の山の向こうに消えた太陽。池から紅白の錦鯉が逃げた。
知りはじめた客はまだ、自分自身の主になる事を恐れている。役者は客に知られる事を恐れている。
画面いっぱいの笑い顔。録画された監視カメラの映像。一瞬光った奥歯に入れられた銀歯。
前後上下体重の移動を利用してさ、単調に見える運動が繰り返される。
老人の口の切れた箇所からチャイが漏れる。今日も飯が食える事に感謝したい。
土臭いまちが綺麗かアスファルト臭いまちが綺麗か、
布切れが河の上を前後上下に動いてらあ。
■繰り返し
3.肉体労働者とその夫タキラス
【3.肉体労働者とその夫タキラス】
■人間の夢かアニマルの夢 タキラスの嫁は今日も生活費の為に客と交わる。
握りつぶされた二つのスチール缶ジュースが、文机の上に置かれている。
タキラスが肘をつく度にそれが揺れる様は、男女のイチャツキに見えないでもないないない。
感受性が強いのか、それとも自己陶酔なのか。
人間と言っても口だけだ、と言っても口だけだ。
人間をアニマルと区別する、精神的な活動の量を示す針。さかった猫みゃぎゃあ。Tは褌(funndoーsi)た。だ。
T『何を言うんだ君は何を言ったんだ今君は』
T『それが君の口を通すのを許したのか?君の頭の中の検閲官は働きすぎだよ』
T『全く馬鹿げ照れるよ』
T『…』
T『君の針は全く振れない事は無いにしても、 殆どアニマルよりじゃないか』
T『もう何千年も前から言われてる事だよ。照れる』
T『全く』
T『中途で投げ出したんだろう』
T『君は知っているはずだ。自分に聞いてみろってな。言ってやったよ今君に』
T『群集の前で戯けてみせるよ。戯けてみせるさ』
T『あっちへ行け猫』
■繰り返し
張り詰めた空気
オートマチックに迸る、シュルントから鮮血が!!
T『変形させずに出してみたのさ』
T『検閲官を怠けさせたのさ、少しだけ餌を遣ってね』
T『モラルは知っているさ』
T『道徳の無い夢の中で、君は目の前にある嫁と嫁との記憶を、彫り刻んで立体的な像につくり上げなかったか?』
T『針が振り切れてしまいそうだ』
T『幾人かの、活動家は、振り切れてみせた』
T『より不完全な人間からアニマルから人間を認識した状態に、T進歩T前進Tしたい』
■繰り返し
4.言葉忘れた日
【4.言葉忘れた日】
ふと、日本語わすれた。布団の中掠れた声で呟く、シトダガラビトジャパアズプト。
室内が白黒になった。白黒の室内調度品、室内画の女の黄色い襟が徐々に黒になっていった。犬用車椅子を
付けたシロとクロは、仲良さそうに話しながら電車を降りていった。
いったいなんなんだ。偶然の出会いが偶然の世界の中で起こっている。
水をこぼしながら、バケツを持ってきてくれたクロ。褒美に色無しの葡萄をやろう。
シロ。シロはどこにいったんだろう。色々の風船を空に飛ばぞう。
そのうちのいくつかはカラスに割られるだろう。一番高くまで飛んだ風船と君の塗った雲とが出会うだろう。
前蹴りに鼻歌を乗せて陰鬱な空気を蹴飛ばそう。
真っ白な壁目掛けて絵の具をぶちまける カラフルなシロの尻尾が表れる。
■色を塗ろう。 君は空、僕はソファー。激安ソファーを色作りの工場にしよう。
窓とドアは全開にする。君の塗る空に見とれながら僕は色を作るのだ。のだ。
ぱっと明るくなった室内を、ぱっと見渡した後、
窓から身を乗り出して君のいる空に向かって大声で君の名を呼ぶ。シトダガソビトヤコアズプト。
壁からミドリが吹き出してくる。あっと言う間に室内に充満したミドリを抱っこする。
自分で自分のレントゲン写真を撮るラット。錆びた色したMMRの動作音。
IIRへの書き込み中に歯磨きをする。新しい歯磨き粉と毛先の乱れた歯ブラシ。
もう一度かきたいと思ったら、とても辛いけど、僕が見たいと思う君のいる空は忘れて。
日本語も、電車の乗り方も、サンプラ−の使い方も忘れて。もう二度と君の顔は見ない。
5.口と手
【5.口と手】
口だけなら縫ってしまえよそんな口。
口にした事を、行動に移す段階になっても口が減らないから、口だけになる。
口にしない方が、懸命だという事を口にする口。
口にも筆にも尽くせないという事だけを口にする事が出来る口。
口より先に手が出そう、示談書書くなど鬱陶しい。
朱肉などより血は尊い。未開と文明の契り、千切りばらしたくなる、なんて事を口にする口。
口を尖らした女流横笛奏者の口元が可愛いらしくて、それに口づけをしたくてたまらない、おとこ流横笛奏者の厭らしい口。
陰口、悪口、暇な口。口直しに冷蔵庫から牛乳を取り出して一気飲みをする口。
無口な泥棒は、今年も勝手口が出入り口で、金持ちの家が働き口。
ただいまの決まり手は
上手ひきずりなげ
上手ひきずりなげで、家主の勝ち
ただいまの決まり手は
馬手草摺返
馬手草摺返で、泥棒の勝ち
ただいまの決まり手はx3
ただいまの決まり手は、
壽本手
壽本手で、男女の愛の勝ち
6.宇宙3回場所変わる
【6.宇宙3回場所変わる】
1.
三組の関は営業部配属になった。営業部にはイジメがあった。
三組にもイジメはあった。
山本は七組だった。生徒皆から慕われる番長だった。
その学校は昔、千葉の西船にあった。国と国でもイジメはあった。
人類社会の中の国家。景気回復の起爆剤はイジメだった。
シャッターに挟まれたトノサマバッタ。殺すか殺されるかなら、殺されてたまっか。
かっかっかーっぺ。
外見を気にするのに、下品な人間ばっかりだから、広告看板ばっかりの下品な風景になった。
手前は、亜米利加人でっか?金閣にいた金髪の女ナンパして暇潰したったマザファッカー。
2.
自然淘汰か人為淘汰。雄は男、メスは女。
牢屋に入れられた男女。罪名は、コーバドストフへの逮捕及び監禁。
学園祭に集まる人々。押すな。廊下にこぼしたクリームソーダのアイスが黙って溶けていく。
膨大なエネルギーの放出。四谷見附交差点、猛火から逃げる人々。
宣言受諾の詔勅が8月14、放送が、投下から、十日後の8月16日に、今日の東京は
3.
国際宇宙スーパーから、家に帰った。モズクとメカブ買い間違えた。
誰だ?顔を上げたら、宇宙熊に顔なぐられた。また会えたか宇宙熊。
手加減無しが礼儀だ。手前は手投げだんは好きですか?ぐしゃんぐしゃんにしてあげた。
折れた前歯で肉かじる。余った肉は小さく分けたらぴったりとラップして冷凍庫へ入れた。
尻尾が生えた。寝汗がびっしょりだ。
目を開けたら鳩の羽が顔に落ちて、一度跳ねた、二度跳ねた。
あれが黒揚羽、あれがカラス揚羽、あれが黄揚羽。あははははは。
7.不発弾処理メカニズム
【7.不発弾処理メカニズム】
仕組まれた仕組み。一組から順に仕掛け花火を仕掛ける。十七色ファンタジー。
景色が変わる。
放水、コンクリート構造物の破壊。ショベルカー八台で工場の解体。
鉄骨切断する大きなハサミ。塵煙が上がり、辺りを灰色にする。まえうしろ旋回、バネやぜんまい仕掛けの玩具。
前進後退、前。羽を広げた雄の孔雀が、瞬刻、工事現場の構成要素になった。
鉄骨噛み砕く、廃棄物掴むアーム。悪路を走行する茶運人形。
茶運人形と客と主人が、瞬刻、工事現場の構成要素になった。
深くお辞儀をした客の着る物を、茶で濡らす。
屈託のない笑顔。
■壁が崩れて丸見えになったクラス3
切り取り貼り付けて言葉の花繋ぐ2
言語の組み立て構造1
唸る獣の声を翻訳0
同時に二つ不発弾が発見された。
不発弾処理隊が現場に到着して不発弾処理が終了し安全が確認されるまで工事中止。
まんまるのお月様。扇状に羽を広げた雄の孔雀が数羽、工事現場の構成要素になった。
死んだ後の世界の様に静かになった夜に、雄の孔雀の羽を広げる音だけが聞こえる通り。
不発弾処理で西武新宿線が運休。不発弾処理によるバス迂回運行。
天体の運行。東京全力で運動。関係者集合。東京電力、警察署、消防署、警視庁、東京 ガス。自衛隊到着。
不発弾処理が終了し、交通規制が解除された。
■繰り返し
8.冬の雪と月とゴリラ
【8.冬の雪と月とゴリラ】
「こちら豊島81523。ベルトとチェーンを用意した」
木枯らしに、ひび割れした唇、ひび割れしたグラフ首都高速の下、木枯らしにそよいだ、大木。
月の明かりを受けた落ち葉が、サンシャインに降り注いだ、ひらひらと。
天のまなこ地上の破片加熱させて食べる人間。
ごみ置き場でごみを漁るゴリラを見た。
人間と目が合うと、後ずさりをしながら走って逃げていった「そちらへ行きました。」
でっかいゴリラが高層ビル群の隙間を縫うように走り過ぎる。ゴリラの泣き声とビル風。
ぼろ布を纏った少女に、尻尾を引っ張られ驚いたゴリラは壁伝いに警戒して一呼吸おくと、笑みをこぼしながら池袋の夜を平泳ぎや、クロールで泳いだ。
呼び名はロロ、ゴリラのロロ。少女はそう呼んだ。少女の空想はノートに収まりきらなかった。
上等なスプレー缶を拝借して、壁に描いた。王女になった自分、暖かい毛皮のコートを着た自分。
たくさんの灯篭が高層ビル群の隙間を縫うように流れていく。
■マリーナウエスト21 マリーナイースト21
冬の月とゴリラと雪 冬の月とゴリラと雪
マリーナイースト21 マリーウエスト21
冬の雪とゴリラと月 冬の雪とゴリラと月
国道357。吹雪に霞む船橋ららぽーと。
「そちらへ向かいます」どうもおかしい。こうも気温が低いとラジオから流れる音もいつもと違う音になる。
というよりも、同じ音の時は無い。調度信号で止まった時、どうした事か、カーステレオから音が出なくなった。
雪に混じって飴が天から降ってきた。天から聞こえるミュージック。飴の取り合いが理由の喧嘩が始まった。
白銀の大地に引き立つ赤い飴。目の前をゴリラが走り過ぎた。そこに突然テレビカメラのクルーが現れた。
常に世界は低い位置から上向きに、高い位置から下向きに、何者かの企てによって映される。
そう映されたものを、そう見ただけなのだ。
雪解け水のせぜらき。物でいっぱいの、狭い地下倉庫の中で刀を探す。
月光浴びた庭。鞘から刀を抜き振り翳す。錆びた刀でも十分だ。
マリーナの色の変化。遠くの海に見える航海灯、崩壊し始めるゴリラの作ったでっかい雪だるま。
寂莫たるマリーナ、静かに波が雪を連れ去る。
■繰り返し
9.9日前の女
【9.9日前の女】
彼女のよ、娘がよ、明日よ、東京へよ、行く。よよよよよ
彼女はよ、娘のよ、好物のよ、揚げ出し豆腐をよ、作った。よよよよよ
彼女もよ、娘もよ、どっちもよ、どっちもよ、独りになる。よよよよよ
彼女がよ、娘によ、買ったよ、肌によ、良いとよ、言われているよ、化粧品がよ、
引っ越ししてよ、 三日目によ、娘によ、届いた。よよよよよ
■よよよよ ねねねね
のはもが のはもが
ねねねね よよよよ
のはもが のはもが
彼女のね、娘がね、明日ね、東京へね、行く。ねねねねね
彼女はね、娘のね、鉄欠乏性貧血をね、酷くね、心配した。ねねねねね
彼女もね、娘もね、いちにんでね、いちにんでね、敵地へね、乗り込む。ねねねねね
彼女やね彼女の娘がね、持っているね、肌にね、良いとね、言われているね、化粧品はね、市街戦でね、役に立つ。ねねねねね
■繰り返し
10.かける5の答えの答え
【10.かける5の答えの答え】
空に橋をかける仕事。操縦席に腰をかける。
書類に目を通しながら、左に体重をかける、副操縦士に屁をかける。
副操縦士が操縦室を出るとすぐに鍵をかける。
BGMを小さくかけると不倫相手に電話をかける。
雲の無い青空を優美にかける、カモメを追いかけるキャプテン、飴噛んで歯かける。
■5×5×5×5
×
5×5×5×5
39万6千25
5
食事、掃除、洗濯の仕事。鍋に水と昆布を入れて火にかける。
3と5を混ぜて柚子醤油をかける。雑巾をかける。アイロンをかける。
働き者の家政夫ロボットを見かける夢を見かける。自分の服より子供の服に金をかける。
協調性にかける子供の事を気にかける。夜の住宅街にクリームシチューの匂いをふりかける主夫。
■繰り返し
11.ありったけの生殖器
【11.ありったけの生殖器】
出発の夜、成田へ向かう途中、一旦電車を降りて昔の彼女がすくった金魚を川へ逃がした。
未来や過去に依存し過ぎない生の自分。未来や過去を当てにして期待が外れた時に損をするのは自分。
でも、目標を失ったら、希望を失ったら駄目だ。
未来宛の手紙を、時に呑み込まれる気がしたが、だが下手糞な言葉で余裕がある内に未来宛の手紙を書いた。
機体が滑走路を離れた。
筆を持つ余裕が無くなったら、イタリアにいる偉大な画家が、貴方の変わりにマンションの8階から飛び降りるでしょう。
少年が磨いた靴を、古代遺跡に光が当たるのを見ながら履いた。
薪割りの少年は、哀れみの眼で死体を見たりしない。
生活がある。
決まりは、真実の敵。真実の敵は、権力の遊び道具にもなる。物売りの横で自由の螺子を巻いた。
■ありったけの花を挿したx5 ありったけの 街が動き始める前に街の端から端まで
地上に陽が射した。トラックの荷台から単調な乾燥地帯の風景を見た。間にあった。
地下には少ないがまだ残っていた。
何かわからないなにか。知ったか振りはできないさ。誰も知らないことだから。
地下水がキラキラと音をたてて流れる。小さい滝があってその先が二又に分かれていた。
ゴムボートで片方の道を進むとその先は、四つ又に分かれていた。
水の流れを塞き止めて、口と鼻の穴を塞いだ。地下水が大きな渦となって自分を巻き込んだ。
地上に空いた大きな穴から飛び出した、そこに住む人々の視線を浴びながら。
地下で見つけた種を撒いた。
金は無いさ。金は無いさ。アビマイラの谷には。
■繰り返し
12.土管踏み
【12.土管踏み】
■いっちゃんみっけ土管踏んだ x2
ひんやりとした土管内部。敵の真下で息を殺す。
知っている女の靴音、イチモンジセセリの羽音。
羽から落ちた粉が唇についた。顔を振って蒼の星を知ろうとした彼女。
■繰り返し
焦土と化した東京。かろうじて焼夷弾の直撃を逃れた、あおろ橋の袂。
故郷のない彼女。
太陽光線が、群雲を追っ払った丁度その時、彼女の持つ如雨露から水が流れ落ちた彼の顔に。
■繰り返し
そこら辺に落ちている木の棒を釣竿とする。釣り人の残した糸と針。
餌は、バッタか蟻。
今にも壊れそうなボートで過去の方向でも未来の方向でもない、航路をとった彼女。
顔の緩んだ彼女。ブルーギルや、ブラックバスを、籠輿いっぱいに入れた。
■繰り返し
13.crazy_shibuya
【13.crazy_shibuya】
恵比寿から渋谷まで徒歩だと20分位、体の重さと軽々しい言葉の数々。
人の多さと、物の多さと、生まれ育った場所の良さを、知らない人の多さよ。
冬日を照り返す、知らない女の横顔。大空の飛行機雲、交差する敵機の影。黒煙上がる故郷。
二つの真っ赤な大きな鳥居が転がる音が、百貨店に木霊する。
俺はここだよ。お前はどこだ?回転する銃弾。弾雨。ダウン。アップ。警備員に邪魔されながら、朝まで踊ったのを思い出した。
ゴミ袋に群がる烏。吐瀉物を突く鳩。そろそろ電車が動き出す頃だろう。
■crazy_shibuya crazy_shibuya 飼い主に噛み付いた正義の犬が
汗の滴が落ちて歪んだ人波
おうおう久しぶり あ じゃ また
今日は核兵器イブか
行くんだ
死ぬか生きるか、知るかんな事、渋谷に散る花
高校の頃、学校を早退して宮下公園のベンチに座ってた。
柊の花が匂う。昨日の自分、二秒前の自分、希望の自分を用意しよう。
答えを知ろうとすればするほど、答えの答えの答えの、これ誰の衣装?
とりあえずお前の衣装で。とりあえず与えられた衣装を着ようか。
とりあえず整えられた街。さっきまで、多くの人達の中の一人だった自分。
自動車の窓から交差点を渡る人達を、野蛮な獣の目で覗き見よう。文明の雑音に騙されずに行こう。
他人に対しても自分に対しても誠実でいよう。
微笑するお地蔵さんに、どうして渋谷はこんなにも満たされているのですか?と訊こう。
劣等コンプレックスの飛沫。渋谷の空を飛翔する真っ黄色の烏。
■繰り返し
14.苔の生した庭
【14.苔の生した庭】
苔の生した庭。楓の若木の下。滴る雨の雫が石に吸い込まれる。
おかしがたい気品のあるしーんとして飾り気のねえ美。
石灯籠の身を置くところを静観する。物静かな人の清く澄んだ瞳に歓びが窺われる。
心休まる、夏の雨降る日。囀る小鳥の声。来る人帰る人。流れる時。枯れる木に新しく生える木。
項垂れるな手前なめるなこらって叫ぶ。殴られる殴り返すやられる前にやる。
心と体分ける事が出来るし、分ける事が出来ない。
自分との勝つ負けるに疲れ、苦しんだあとに示される次の世代への標。
生まれる赤子。空が晴れる。照らされる回廊。足の跡。足の跡。
老夫婦にデジタルカメラを渡され写真撮影を頼まれる。
池の奥の五重の塔が入るように、二人を写真に収める。
流れる記憶。
レビュー
レビューはまだありません。